カテゴリー「音楽」の48件の記事

2015/09/25

NetFlixが私にはデジタルコンサートホールが必要と教えてくれた

NetFlixを体験してきて思ったのは、自分が見たいのは本当にこれなのかな?ということです。

『孤独のグルメ』がNetFlixラインナップの中で一番面白いと思ってしまった私にとって、ちょっと古めの洋物テレビドラマが中心のサービスは何かちょっと違う。

このサービスを受けたことが、有料チャンネルに自分がどう関わるかを考える機会になりました。

現在お金を払って見ているテレビ放送は、
・J:COMスタンダード~77ch(地デジ等含む)
・WOWOW
・グリーンチャンネル
・NHK
というわけで、結構それなりに投資していて、これにあと1000円足すかどうかということなのです。WOWOWに入っていなければ無料期間が終わってもNetFlixを継続することでしょうが、WOWOWの連続ドラマWが大好きなものとしてはそうもいかない。

例えば今が2~3月だったらF1見たさにフジテレビNEXTに入った方が趣味に合いそうですし、AKBグループに力を入れそうなAmazonプライムビデオも興味津々。4K放送が増えつつあるNHKオンデマンドも捨てがたい。

また、今契約しているJ:COMスタンダードのSmart J:COM Box (WA8000)で実質あと500円足すとチューナーが4K対応になるのでそれも面白そう。12月から4K放送も増えそうですし。

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で、そうこうしているうちに本命発見。それはソニーが力を入れている「デジタルコンサートホール」です。ベルリンフィルの映像を大量に抱えているサービス。

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今までBDレコーダなんかを購入するとだいたいホームメニューにこれがあって、いつも何とも思っていませんでしたが、有料チャンネルどうするかなと思っている状態でブラビアのX8500Cのホーム画面にあったこのアイコンに目が行ってしまいました。

30日19.9ユーロですから今のレートで2685円でしょうか、1年だと149ユーロで約2万円。

ユーザ登録すると1ヶ月使えるということでさっそくPC側で登録して、テレビ側でログインしてアイコンをクリックしてみると……いきなり画面上部に「次のライブ中継まであとxx日xx分xx秒」の表示が!!

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これはも、も、もしかしてベルリンフィルの生中継が見られるのでしょうか。だとしたら、年間2万円、つまり月1800円くらいだと相当安いのでは…

と思いつつ、アーカイブ内を眺めてみると、指揮者・ソリスト・作曲家毎に過去のライブ映像があって、ちょっとしたことになっています。

私の大好きなリヒャルトシュトラウスの『4つの最後の歌』やヴェルディの『聖歌4編』なんかは今年2015年に演奏会で取り上げられていて、勿論それを閲覧することもOK。

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見ていると、終演後にちゃんとオーケストラの面々がステージから袖に戻るところまで、最後の最後まで映像化されているので、昔の欧州物のように拍手の時間が15秒くらい、なんてことはありません。

昔はアメリカのクラシック音楽の映像は最後まで映像で見せていたものの、ヨーロッパは演奏が終わるとすぐに映像も終わるものがとても多かったのです。

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ただし、おそらくソニーが関わることになる以前のもの、例えば、ものすごく見たいと以前から思っていた、アバドが病床から復活した直後にやったヴェルディの『レクイエム』とか、小澤征爾のカラヤン記念の全編などはありません。

バーンスタインがベルリンでやった一期一会の超絶名演とかは当然無いだろうと思ったら本当に無かったのもちょっとがっくしですが、とりあえず最近なのでしょうか、漏れなく撮り始めたのは。

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いずれにしても、こういったライブラリものはおまけと考えると、ベルリンフィル演奏会の生中継に1800円はかなり安いと感じてしまう私にとっては、ネット配信の大穴としてデジタルコンサートホールが浮上したのであります。画質と音質も非常に素晴らしい。

やはりお金を払うのは価値観との釣り合いですから、例えばJKT48の劇場からの生中継を毎晩やってくれるチャンネルがあれば、それは月10000円でも必ず加入するわけです。

NetFlixの無料期間終了間近になったことが、有料チャンネルと自分の関わりをもう一度考えさせるキッカケになりました。

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2014/01/27

グラミー賞に萌えなくなってきた今日この頃

Grammy2014 WOWOWのグラミー賞授賞式を録画して見ているのだけども、どうにもワクワクしないというか、毎年番組レポを書いてきたのに今年はそれすら…

当たり前のように有給を取って朝から正座でWOWOW凝視な例年なのにこの冷めた感じはな~んでか、と考えてみてハタと思ったのは、これはもう端的に言ってAKB48が出ていないからなのではないかと。

年末賞レースはどれもこれもAKBばっかりで…などと愚痴をこぼしていたものの、いざ彼女達の出ていない音楽イベントを見ていると、確かにどのアーティストもうまい!。うまいのだけど、「いつか見た道」というか華がない。

ロードが歌っててもどこからどうみてもビョークに見えちゃうし、ポールマッカートニーはもういいでしょうという感じで、リンゴスターまで出てきてもジョンレノン党の私にゃそうですかという程度の感想。

それにしてもマドンナはもはや骨董品な存在で、画面に出てきたことに意義あり。歌には触れまい。

唯一、わたくしの永遠の嫁、テイラー・スイフトのピアノ弾き語りは良かった!。

それから、ランランのメタルは良かったというよりも珍しかった!という感じですが、彼の熱血漢的な指使いはさすがでした。

で、ビヨンセから始まる毎年代わり映えしない面々を見ていると、もしかするとアメリカのショウビズ界も案外底が浅いような気もしてきましたが、嵐が出てきて北島サブちゃんが出てきて…みたいな日本の歌謡エンターテインメントの方がいろんな色があって面白いのかもしれないと思えてきました。

「恋するフォーチュンクッキー」のほんわかする感じ、そして、どうにもAKBな感じの「ステージを埋め尽くす笑顔」の毒にはまっている今日この頃は、本場メジャーの「確かに歌はうまい、音の迫力もすごい」という相手に対して、それだけでは身を乗り出して画面を見れない自分に気がつくのであります。

わたくしの永遠の嫁テイラー・スイフトの登場シーン以外は(しつこい!)。

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2014/01/03

井上陽水の『氷の世界』は「Fun」に辿り着く過程が面白い

20140103_225534 12月18日にNHK-BSプレミアムで放送された「井上陽水ドキュメント『氷の世界40年』」の録画をようやく見ました。

オリコンの首位獲得週が35週、トップ10滞在が113週という化け物レコードから40年目ということで企画された番組です。

どうにもこのアルバムが好きすぎて、逆にプレイボタンを押すのが怖いという複雑な心境から見ずにここまで来てしまったのですが、結果的には面白かった!

番組を見てよくわかったのは、アルバム『断絶』や『センチメンタル』と違ってこれはもうプロデューサー多賀さんの「売ってやる!」っていう意気込みの凄さ。

『心もよう』と『帰れない二人』のどちらをシングルA面にするかの葛藤のところにそれがよく現れていました。

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あの頃はギターを買って最初に覚えるコード進行が『東へ西へ』だった人も多かったと思います。

で、ギターソロをやりたい人は『白い一日』だったり、ソロで一見難しそうな指使いをしながら歌いたい人は『帰れない二人』とか『桜三月散歩道』だったりを、結局は格好をつけたいという不純な動機から覚えていくわけだけれども、それもこれも陽水みたいな人があれだけ格好良く見えるのなら俺でも!みたいな感じがあったかもしれません。

実は『自己嫌悪』が結構好きなんだけれども、やはりというか、番組では取り上げられていませんでした。歌詞を見せるのも無理があるわけでしょうがないのだけれども、この曲は冒頭の放送禁止用語のせいで日の目を見ないのがとても残念です。

番組の中で『あかずの踏切』が『もどり道』版と『氷の世界』版があるのを陽水が「この歌詞けっこうイイんでもうちょっとなんかこうならないかと思って…」みたいに解説していましたが、知る人ぞ知る『東京ワシントンクラブ』版もあるわけで、本当にこの歌詞を気にいっていたのがわかりました。

アルバム『東京ワシントンクラブ』はCD化されてない、アナログ時代に陽水を聞いていた人だけが懐かしむ、まあこういうアルバムも陽水話をアングラな感じで語る時には必要でしょう。

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で、アルバム『氷の世界』が名盤すぎて、どの曲もリピート再生する中で、どうしても取り残されるのが『Fun』。

この番組最大の収穫は、実はこの曲は『Fan』で、つまり陽水のファンに向けた曲だという話を聞けたことでした。

『Fun』は不思議な曲で、どの曲も飽きるくらい聞き込んだあとで、突然この曲のサビの部分で涙がじわっと浮かぶ瞬間が来ます。

イメージ的にはアルバム『センチメンタル』の『あどけない君のしぐさ』なんだけども、ある意味、「陽水最後の4畳半的な歌詞」なんです。

このアルバムで金持ちになった陽水は次のアルバム『招待状のないショー』の歌詞では部屋にピアノがあるわけで、なんというか、青春の貧弱な感じを聞ける実に切ない曲。

そして鋭い曲達に胸をぐさっぐさっと刺されまくって、もう飽きるくらい聞いたあとで、あまり一生懸命聞いてこなかったこの曲に突然ぐっときて、「ああぁ、こんなに良い曲だったんだ…」と気がつかされる名曲。

それが『Fun』なのです。

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2013/07/14

『あまちゃん』、サウンドトラックCD買いました

Amatyan 『あまちゃん』のサントラCDを買いました。NHKモノのサントラは『龍馬伝』『坂の上の雲』に引き続いての購入ですが、これもまた大傑作。

中身はというと、オマケに「あまちゃんシール」。大きっつぁんの北鉄とまめぶ汁とドラマロゴの4つですが、まだ台紙から剥がしていません。

それから、ライナーノートは音楽の大友良英さんと脚本の宮藤官九郎さんのコメント。

そしてそして大友さんによる全35曲の解説シートです。これだけあればレンタルではなくて3150円出して買う価値もあるのであります。

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大友さんの実家は福島県ですが、東日本大震災の後、実家まで演出の井上剛さんが来て一緒に仕事出来ないかと聞いていたようで、ある意味、やはりこのドラマは大震災抜きに語れないものが根底にあるのだと気がつきます。

ちなみに大友さんは「プロジェクト FUKUSHIMA!」の代表でもあり、これで文部大臣賞を受賞していますし、障害のある子供達との音楽ワークショップに力を入れるなど、朝ドラの底抜けの明るさのみではない引き出しの多さもまた魅力。宮藤さんのコメントはこういうところを言っているのでしょう。

で、解説によれば、録音が始まったのが2012年9月とのこと。これまで250テイクを録音してこのCDには1/7の35曲収録、さらに、作曲は続いているようですから、恐らく終盤に使われる曲はこのCDには入っていないものと思われます。

大震災などで使われる曲がどんなものなのか、それはまだ秘密ということです。

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35曲を何度も聞いて、好みの曲は、「琥珀色のブルース」「土地」「奈落」「アキのテーマ」「希求」「海」といったところ。

オープニングテーマ曲はご存じのように月曜日だけがロングバージョンですが、解説を読んで気がつきましたが、月曜日はスタッフ名が出るのでロングになるのは必然なのですね。

これが2012年8月スケッチでそこから半年かけて作り上げられたそうで、一曲作るのも大変なんだなあと。

「琥珀色のブルース」はやはり夜のスナックなどで使われるものですが、曲調が70-80年代の陽水/高中/星勝な感じで、そういうのが好きだったものとしてはニンマリ。

「土地」はこのCDにも多く収められているストリングス曲の中でも絶品で、近藤達郎さんのハーモニカが呼び起こす郷愁がとても気持ち良いのです。解説にもありますが、外に向かう「海」、内に向かう「土地」、そういう曲の位置付けだそうです。

「奈落」は今をときめく『暦の上ではディセンバー』のストリングバージョン。そういえばこのCDには声入りの曲は入っていませんが、そういうのも今後まとめて出して欲しいところです。

「アキのテーマ」はこのバージョンは静かな曲調で元気の良いアキを連想させませんが、いろいろなバージョンがあるそうで、いわゆるライトモチーフの原型なのでしょう。『潮騒のメモリー』のフレーズがところどころ出てきます。

「希求」は少女達の切ない思いが込められているそうで、アキやユイにとどまらず沢山の少女が出てくる中盤では確かにたくさん使われているように思います。

「海」で聞ける確信のようなものは、ある意味クライマックスで使われるのではないかと連想させるもので、聴き応えは充分。

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「島田さん引っ越しましたよ」でバタバタと慌ただしくなったこの頃、沖縄のキャンちゃんの癒し系的立ち位置が心を穏やかにしてくれて、マッタリした朝を迎えたい時にピッタリ。

マッタリ系は他にもベン・アフレックさんというかスマート勉さんというか、琥珀の勉さんや「おめでた弁護士」監督のベンガルさんもそうですが、それにしてもこういうキャラがめちゃくちゃ立ってるのが凄い。

『あまちゃん』をゲラゲラ笑いながら見ていて、でも心の中のどこかに、もうすぐ大震災がやってくるんだよなあと思ってしまって、そういう複雑なものがドラマの背後には常にあるので、クライマックスを迎える時には笑いながらも大感動の大団円を期待してしまうのであります。

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2013/01/17

新しいジャズ・青木カレンさんの『voyage』

Karenstore NHK教育で今月から始まった『3ヶ月トピック英会話 歌って発音マスター!~魅惑のスタンダードジャズ』は、2011年9月~12月の再放送なのですが、初回放送を見た人も見ていない人も、音楽ファンならかなり必見なのです。

というのも、毎週青木カレンさんの美貌と歌声に接することができるからなのであります。

カレンさん大好き人間としてはエンディングを森末慎二さんとデュエットする場面は余計なのですが、この日本を代表するディーヴァを前にして森末さんも渾身の歌唱なので一応OK。

で、デビュー当時は石原プロダクションに所属していたという異色の彼女、ジャズシンガーとしての代表作はもしかしたら『SHINING』なのかもしれませんが、『voyage』がかなりお気に入り。

タイトルの「新しいジャズ」はこのアルバムの帯に書かれているキャッチコピーなのであります。

一期一会の「ジャズ」と定型の「打ち込み」はまったく相容れない正反対なイメージですが、この『voyage』は「ジャズによって打ち込みに命を宿らせる」という壮大な実験作で、カレンさんの美声の後ろで響く音符達には本当に魂が注入されています。

プロデューサーに安室奈美恵さん・浜崎あゆみさん・宇多田ヒカルさんなどで才能を発揮してきた今井了介さんと、保育園をドサ周りしてジャズを聴かせてきたという異色の渥美幸裕さん、そしてFeFeをゲストシンガーに迎えた意欲作。

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『voyage』は名曲揃いですが、1曲目『Skindo-le-le』は、イントロ無しで冒頭いきなり「When you are lonely, when you are sad ...♪」と声が入った瞬間に「さあこれ聴いて元気になれるぞ~」みたいなガツーンと胸に飛び込んでくる阿川泰子さん原曲のアレンジ名曲。

この1日のモヤモヤが晴れる感じというか、元気を取り戻せる感じはまさにそういう内容の歌詞なのだけど、英語がわからなくてもしっかり伝わってくるのはさすがとしか言いようがありません。

もう完全に「Skindo-le-le♪ Skido-la-la♪」の繰り返しで掴みはOK、というか、私が勧めたからといってこのCDを買ったりダウンロードした人も、まず最初の曲で元は取れた!!と思ってくれるはず!!

3曲目『Sugar cake』はオリジナルですが、ハイトーンで「da da da da♪」と繰り返す感じは青木カレンさんの真骨頂でもあるクラブ・ジャズの典型的な型で、こういうのもしっかり押さえて聴き進めたいところです。

6曲目『Another day in paradise』はフィル・コリンズの曲で、"気持ちよさ"みたいな意味ではこのアルバム随一かもしれません。

ちなみにサビの部分の「Oh, think twice,....♪」はExcite翻訳だと「私は二度考える」ですが、グーグル翻訳だと「私はよく考える」になります。たぶんグーグル先生が正解。

7曲目『I've got you under my skin』はスタンダード・ジャズで、NHKの三ヶ月トピック英会話から青木カレンさんを聴くパターンの場合は、この曲でようやく彼女を聴く目的を達せられるのかもしれません。

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全曲紹介してるといつも以上に長文になってしまうのでこのあたりで止めておきますが、何かと疲れる日々に待ったをかけてくれる青木カレンさんの美貌と美声と歌唱力はいろんな人にかなりお勧めなのであります。

8曲目の『Papipa』っていうのオリジナル曲で「If you come with me, you'll see, we'll see...♪」とハイトーンで可愛らしく歌う部分があって、この男の側から言いそうなセリフを女の立場で歌う、みたいな積極的な歌詞が大人の感じでかなーりステキ。

『You Gotta Be』はこのアルバムで私の一番のお気に入り。カレンさん格好良すぎ。あー結局全曲紹介してプッシュしてしまいそうな流れに…。

で、この『voyage』というアルバムはそういう、女性から言う「一緒に船で乗りだそう」みたいなもので統一感が出された名作なのであります。

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2012/11/11

とてつもない深淵、チェリビダッケのブルックナー「第7番」BD

Dscf0125 チェリビダッケが1992年にベルリンフィルを振ったブルックナーの7番のブルーレイディスク。

かつて、この人のブルックナー7番8番のレーザーディスクを持っていたのですが、ようやく今のオーディオ用メディアが登場したということで、今月発売のこれをアマゾンで予約して購入しました。

で、もちろんとてつもない遅さで、トラック合計が91分。最初と最後に拍手が入っていますから、正味85分くらいでしょうか。

普通70分前後の曲ですから、この所用時間だけでそのテンポも想像できると思います。

そして、なぜ8番ではなく7番が選曲されたのか、これを考えるとチェリビダッケがベルリンフィルに要求した事の一端がわかって面白いのです。

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Dscf0124 音楽の素晴らしさは言うまでもないのですが、興味の的は54分にも及ぶボーナス映像。

若い頃の指揮風景と、このベルリンフィルとの公演の練習風景なのですが、練習風景が凄い!。

また、チェリビダッケは戦後の荒廃時代にベルリンフィルの常任指揮者だったフルトヴェングラーと共にこのオケを支えたわけですが、フルヴェン死去後、1954年にチェリビダッケではなくてカラヤンが後継に選ばれた経緯なども、当時の楽団員らによって語られています。

で、それはカラヤンのセールスマン的才能が好まれたからと証言されていますが、よく言われているように、チェリビダッケと楽団員のソリが合わなくなったのも又確か。

そしてこの1992年の練習風景を見れば、そこらへんの文字になっていない事がわかってきます。

Dscf0118 このブル7の練習風景、まさに一小節毎に演奏を止めて3分くらいかけて音を作っていくのですが、チェリビダッケの叱責がすごい。

「なぜここでこんなにビブラートをかける!?。なぜそんなに歌う!?。あなた方がベルリンフィルの団員だからか!?。あなた方が上手だからか!?。あなた方はみんなソリスト並の才能があるからか!?。」

そして、「そんな才能はいらない!」と怒鳴り散らします。

「なぜ低音がこんなに上手なんだ!?。なぜそんなに強靱な音を出す!?。ベルリンフィルだからか!?。ベルリンフィルの低音弦が凄いからか!?」

そして、「そんな音を出すからフルートの消えいる部分の弱音が聞こえなくなる」と諭します。

徹底的にベルリンフィルの楽団員であることのプライドを捨てる事の要求。弦が歌うことを放棄することを要求。そして、とてつもない深い境地になることを要求します。

ビブラートで外面の気持ちいい美しさを表現するのではなく、単純な「音」と「間」を要求します。

そう、このあたりの「飾らないこと、作らないこと」を要求する指導を見ていると、チェリビダッケが「禅」に傾倒していたのが妙にしっくりくるのです。

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Dscf0120 ボーナス映像のためにこのディスクがあると言ってもいいのですが、それにしてもドイツのヴァイツゼッカー大統領が「慈善活動として」と理由付けして、とにもかくにもベルリンフィルとチェリビダッケを38年ぶりに面会させた歴史的ライブ録画。

結果的に「遅いテンポ」を感じさせないのがこの指揮者の凄いところで、それは急ブレーキや加速感、無意味な無音を多用しないからでしょう。

確信に満ちた音の引き延ばし。引き延ばすことで明らかになる全ての楽器の音達。しかしそれは精密機械のようなものではなくて、あくまでも匠の手作りの品々なのです。

単にゆっくり演奏したら、スケルツォなんかはつまらなくなってしまうはずですが、そうならない。

また、優れた演奏家の手によるブルックナーの7番を聴くと、アダージョのコーダ部分を永遠に聴いていたいと思う境地になることがよくありますが、この10分近い奏法でそれも叶います。

ただ、管楽器がやや強すぎる部分が多々あって、これが録音によるものなのかどうかはわかりませんが、まだこれでも練習が足らなかったようにも思えます。

いずれにしても、音楽的にも、音楽史的にも、非常に興味深いディスクなのであります。

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2012/04/01

オペラ座の怪人 25周年記念 in ロンドン

Dscf0053このブログの「Masquerade」は『オペラ座の怪人』が好きでそうしたのだけど、同作の決定版が"オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン"で、これはブルーレイでも発売されているものの、先日WOWOWでカーテンコールを含めて完全放送されたのです。

四季との比較などは意味を持たないとは思いつつ、やはり本拠地で本気モードだと歯が立たないというのが正直なところで、この映像を見てしまうとその後のオペラ座体験のベースのところが変わってしまうのではないでしょうか。

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終演後の重鎮によるイベントは「The リスペクト of リスペクト」状態。

WOWOWでの再放送は4/8(日)13:30~と、4/14(土)16:00~のあと2回あるので見逃した方は是非。WOWOWを見られない方は是非ともブルーレイ版かDVD版で。

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何度も「オペラ座の怪人」に触れてきたけれども、この素晴らしい作品を啓蒙するためなら何度でも書いちゃいますョ。私の心酔はまさに「The Point Of No Return」状態。

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この作品のラウルという役は一歩間違えると映画『タイタニック』のキャルドン・ホックリー(ローズの婚約者)みたいな嫌味な感じになりますし、ファントムを応援しながら見てしまう私などは特にそうですが、この公演でのハドリー・フレイザーは誠実さがよく出ていて存在感があります。

だからこそ最後の3重唱が完全なトライアングルになりえていると思いました。

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最後のファントムによる"I love you...."は無限の長さに感じるほどゆったりと、心を込めて歌っていて涙・涙・・・

で、ファントム役のラミン・カリムルーのややぶっきらぼうでシャウトしてる感じが"狂気の天才音楽家・ファントム"を良い方に導いていて、その素晴らしさを敢えてまた書くこともないと思うのですが、この人、実はジョエル・シューマッカーの映画版にちょい役で出ていたのをご存じでしょうか。
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なんと、クリスティーヌのお父さん役。
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名前発見!!

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2012/02/13

第54回グラミー賞~アデル・ナイトでもテイラースイフト最高!

Dscf0020とにもかくにもアデル・ナイトになった第54回グラミー賞。

これだけ大量の賞を受賞しながら、どの賞も本当に嬉しそうだったのが印象的ですが、ポリープ明けということもあったからかパフォーマンスはイマイチな感じで、授賞式に限定すれば何故これほど今受けているのか判りにくかったのも事実です。

おそらく背景にはソウルへの回帰というアメリカの事情もあるのでしょう。近年のグラミーは「カントリー or ヒップホップ」が潮流で、フー・ファイターズみたいな純ロックンロールですら新鮮に聞こえてくるような状況でした。

アメリカが求めた新ディーヴァはビヨンセでもレディ・ガガでもなく「聞かせる人」だったのでしょう。

パティ・オースティンさんが、「アデルはイノベーター」と仰っていましたが、アメリカン・ポップの潮流の発信源になっているということでしょう。

由紀さおりさんが受けているのもそういう流れでしょうか。

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Dscf0013カニエ・ウェストやジャスティン・ティンバーレイク、そしてビヨンセの登場しないグラミー賞は、むしろアデルの「歌の力」で一つにまとまった、なかなか完成度の高いエンターティンメントだったと思います。

レディー・ガガの立ち位置はケイティ・ペリーが占拠していたように見えました。ケイティってこういう人だったかとはたと考えてしまいましたが、彼女のこういう姿も充分にアリ。

個人的にはのどがイマイチだったアデルよりもブルーノ・マーズが格好良かった!!

普通、格好付けると人間ってあまり格好良くないものですが、この人はエルビスみたいな感じで、格好付ければ格好付けるほど格好イイ。

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Dscf0017そして最高にエキサイティングなパフォーマンスだったのは私にとっての至高の天使、テイラー・スイフト。

世界中の「キュート」を足して人口で割ったらこんな感じになる!!みたいなテイラー・スイフトは本当に可愛らしくて、この顔のどこからあんなパワーが出てくるのかと、ちょっとじっくり二人で話しさせてもらいたいです。

まさに年々キュートさに磨きをかけていながら、それていてミーハーではなく、場内の大御所達をオール・スタンディング・オベーションさせてしまうリスペクトの受け手でもあります。素晴らしい。

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Dscf0016ポール・マッカートニーは相変わらず「24」のキムみたいな感じで、おなかいっぱいな感じ。

シンディ・ローパーがいみじくも「彼にはベースを弾いてもらいたいのよねえ」と言っていたけれども、おそらく私と同じような感覚をもっているのでは…。

それからジェニファー・ハドソンのホイットニー・ヒューストン トリビュート。彼女も耳をつんざく音圧を下げてから随分味が出てきたけれども、今年の追悼歌は聞き応えがありました。

とにもかくにもヒップホップが目立たなかった今年のグラミーは近年では異色で、それが統一感をもたらした、非常に完成度の高い時間だったと思いました。

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2011/12/20

坂本冬美さんの名曲『おかえりがおまもり』

Okaeri

まずはこの映像を。

(YouTubeの映像)

これは坂本冬美さんの一夜のコンサートのためだけに川村結花さんによって書かれた「おかえりがおまもり」という曲です。

その後、CD化のリクエストが後をたたず、遂に今年9月にリリースされました。

『絆』がキーワードの今年の紅白歌合戦で坂本冬美さんに歌って欲しい曲は、間違いなくコレです。

誰が選曲をするのかわかりませんが、今年これを歌わなかったらNHKは坂本冬美さんの世界をわかってないと思わざるをえません。

なぜこの名曲が涙を誘うのか、それは日本人の機微そのものだからで、英語で「Hi」「Welcome back」ではない、日本語の琴線がいろいろな思いを一瞬でよみがえらせるからでしょう。

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「ただいま」「おかえり」という何でもない言葉の行き来に心の拠り所があって、幾つになっても、また自分がどう変わっても、「ただいま」に対する「おかえり」と、その言葉をかける人の気持ちは無限に普遍だという歌詞。

自分のルーツがわからなくなって遠くへ探しに出て行ったとしても、その答えはそういうどこにでもある自分の中の「ただいま」と「おかえり」の中にある、故郷は/家族は/自分は、実はこんなに身近なところにあるという歌詞。

そして誰にもそういうものがあるし、その短い「おかえり」の中に自分を見守ってくれる人や土地が凝縮されているから、この言葉を大切にすることは、それは最高の『おまもり』なんです。

で、これはもう本当にすごい名曲で、かなりマイブーム。

余計なお節介かもしれませんが、多くの人に聞いて欲しい名曲です。CD新譜では1200円、iTunesダウンロードでは600円。是非。

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2011/09/01

今風のブルックナー/アバドの5番

Dsc020792011年8月18~20日の収録だから、8月27日にBSプレミアムで放送されたルツェルン音楽祭はなんと公演から1週間たらずの生々しいものでした。

さて、アバドのブルックナー交響曲第5番。

シューマンかマーラーの1&4番を聴いてる錯覚をしそうになるような美しく軽い響きで、ブルックナーとは言ってもこれは4番かと勘違いする音作りなのですが、もちろんNHKの印字ミスではなくて5番は5番。

イメージとして持っていて頭の中で響くブル5は、ブルックナーの中では最も堅物で重々しくて重厚で…みたいな感じだから、アバドの演奏スタイルには少なからずカルチャーショックを受けました。

そういうわけですから、「昔のブルックナーってのはね…」「やっぱりクナだよねえ」「朝比奈さんが東京でブルックナーやるぞ」みたいな会話をしていた(私も含めた)人達がアバドの演奏に共感できるかどうかは実に微妙なのであります。

なぜアバドのブルックナーに重々しさが欠如しているかというと、それはたぶんダイナミックレンジの取りすぎと急ブレーキの多用から来るのでしょう。

堂々とした構えが無く繊細で神経質な音作りは、やはり「アバドはマーラー指揮者」という感をさらに強くしました。

例えば第1楽章コーダで激しくクレッシェンドしていく最中に突如金管の音を遮ったり、同じく第4楽章フィナーレのクレッシェンドからの最強奏の途中で金管をピアニッシモにして木管を全面に出す手法は、たしかに「面白い」。

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Dsc02078こういう「遊び」すれすれのいじり方をするブルックナーを目指すなら、ノヴァーク版よりもハース版の方がいい。

ハース版や原典版にある「後付」的なおまけ部分では、アバド的な自由な発想が生きてくるでしょう。

ただし、現代のようなあまりにも演奏者が「上手に」なりすぎている時代のクラシック演奏では、こういう演奏スタイルを古いファンも受け入れなければならないような気がするのも事実。

録音技術の向上や、テレビにおけるMPEGからAACへの変化によって「アンサンブルの妙」を聞き分けることができるようになってきましたし、アバド的な「いじくりまわした聞かせるブルックナー」も現代的アプローチとするべきなのでしょう。

考えてみれば「重々しいブルックナー」の極地だったチェリビダッケの演奏もアバドの真逆にすぎず、同様に「遊び」すれすれだったのかもしれません。

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Dsc02077納得しつつも、しかしどうなんだろう、この複雑な感覚。

クナッパーツブッシュやヴァント、さらにはシューリヒトや朝比奈さんのような堂々とした真面目なブルックナーは、マーラーとは明らかに違う響きを持っていたからこそ、両作曲家が孤高の存在として並び立っていられたのだとするならば…。

現代ブルックナーがアバド的なものばかりになっていくと、マーラーとブルックナーの響きに大差が無くなってきて、それなら単調なブルックナーよりも派手なマーラーを聴きたいという人が増えやしないだろうか。

単調でシンプルな音楽の中に「美しさの本質」みたいなものが見えてくるブルックナー演奏は、もやは時代遅れなのかもしれないと諦めつつも、やはり今晩もブルックナーを聞くなら自分はクナやシューリヒトのCDだなとニンマリするのであります。

Dsc02072堅い話はココまでにして、とにかく演奏終了後の奏者の極度に満足そうな表情は、このコンビのマーラーシリーズで見てきた以上のもので、特に金管は「やった」感が強く伝わってきました。

演奏途中でビオラ奏者が後方の金管・木管群に目をやってうっとりしている表情が映ったりして、まあしかし本当に仲の良い、いいオケだなあと思いましたし、来年たぶんマーラーの8番をやるのでしょうから、期待しています。

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