カテゴリー「映画」の33件の記事

2015/09/01

Netflix初日、とりあえず4K対応コースで体験しています

ネットフリックス(Netflix)を4K対応androidテレビのブラビア49X8500Cでしばらくいじっていました。

今日は初日ということで、ラインナップは一見案外イマイチですが、ただ、全部スクロールしきれたかどうかよくわからなくて、このサービスは「おすすめ」が最大の売りのようですから、しばらく使ってみないと、この量が多いのか少ないのかわかりにくいのかもしれません。

で、最初に思ったのは、NHKモノが案外たくさんあること。

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いっそのことNHKオンデマンドをこちらに引っ越しちゃえ!などとも思いましたが、まあ無理だろうなあと思いつつ、朝ドラなんかはBSの再放送が終わったらNetflixにライセンスする流れなのかもしれません。

大河ドラマは「江」とか「天地人」はありますが「龍馬伝」が無いところをみると、なかなかNHKもわるよのぅ、という感じでしょうか。

洋物連ドラも大好きなのですが、例えば24-Twenty Four-はシーズン1と2しかなくて、どのドラマが一部のみでどのドラマが全シーズン配信されているのかがパッと見でちょっとわかりにくい状態ですね。

それから、このテレビを使っている者としては4Kラインナップも気になるところですが、現時点では量は今ひとつなんですが、「大自然」モノが結構あるので、紀行番組などが好きなものとしてはこれはこれでアリだと思いました。

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配信されている4Kモノはさすがに相当キレイです。うちのテレビが4K対応テレビであることを実感させてくれました。NHKは収録の多くを4Kでやっているはずなので、今後NHKモノが4K配信されるようにもしなれば、Netflixはかなりイイ感じになるでしょうが、NHKオンデマンドとの兼ね合いがあるからどうなんでしょうか。

これから毎日配信数を増やしていくそうですし、オススメ機能も精度が上がっていくでしょうから、このまま使ってみて、1ヶ月後の無料期間終了直前にどのくらい満足させられているか、4K契約の1400円を払う価値があるかどうかの判断はその時まで待ってみたいと思います。

あと、ユーザー毎にオススメのデータベースがあるようですから、例えば4K対応だと4ユーザーまで登録でき、自分以外の人のオススメが干渉してくることは無さそうです。

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2015/04/27

ハリウッド版『GODZILLA』

ハリウッド版の『GODZILLA』(ゴジラ 2014)をようやく見ました。

ゴジラが「ゴリラ」+「クジラ」なのだとしたら「Gojira」となるのでしょうが、なぜ『GOD』なのか、まさにこの138分はそこのところ「だけ」を徹底的に描いていたように思います。

そして印象的なのは『2001年宇宙の旅』のモノリスの音楽、つまりジェルジ・リゲティの『レクイエム~キリエ』と『ルクス・エテルナ』。

2001年でもこの2曲が渾然一体となっていつの間にか切り替わっていますが、GODZILLAでも同じような使われ方をしていたように思いました。

この音楽の挿入によって、GODZILLAを見ている頭の中でモノリス(黒い石板)をフラッシュバックさせ、その神秘性をクローズアップすることに成功したのではないでしょうか。

もっとも、監督が単純にオマージュしただけかもしれませんが、確かに作中では『カサンドラクロス』とか『エイリアン』のオマージュがあるので案外あまり考えていない可能性もありますが…。

次のオフィシャルトレイラーの中では『レクイエム』+『ルクス・エテルナ』が1分0秒あたりから出てきますから、未見の方は是非これを見て2001年の映像を思い出してみてください。

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で、映画ですが、賛否両論あるだろうなとは思いますが、私はかなり面白かったです。

ゴジラの咆哮を思いっきり「聞かせた」ところとか、口から放射線を噴くという元祖怪獣っぽいところを手抜きせずに表現してありましたし、そういう日本的怪獣映画な側面を軽視することなく深みを伴って実現させた監督の手腕はたいしたものです。

キモは第五福竜丸事件が絡む水爆大怪獣的側面、つまり人間の知恵が産んだ悪の象徴的面は姿を消して、あくまでもGOD=神として描いたところでしょうか。

GODZILLAは世界の均衡を崩すものを排除して秩序を取り戻そうとします。神によって世界の均衡が保たれている、そういったことを前述モノリスの神秘性の助けを借りて強く表現していました。

ただし、日本人(渡辺謙さん)に「水爆実験は実はアイツを倒すための実験だったんだ」と言わせたところではいきなり現実世界のドロドロに引き戻されましたが。アメリカ人の免罪符なのでしょうか。

このハリウッド版GODZILLAを見た後で日本版ゴジラを見ると随分と、印象が変わるだろうなと思いました。つまりGOJIRAではなくてGODZILLAなのだと。

GODZILLAは『怪獣大戦争』で見せたような「しぇー」は絶対にしそうもない、かなり真面目な怪獣なのであります。

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2013/12/23

映画『ゼロ・グラビティ』の貴重な体験

Zerog 『ゼロ・グラビティ』を見てきました。3Dの字幕版です。

2週続けての鑑賞で、先週は『清洲会議』をみてまして、三谷幸喜さんの「詰め込んだ」映画と完璧に正反対な、「真空感」を味わってきまして、なかなか面白い週末が続いております。

で、IMAXではなくて、新宿ピカデリー。ここは自宅から席をオンライン予約できるのがイイのであります。

この映画は正直凄いのですが、何が凄いって、地球の存在感!!。あと、もちろんジョージ・クルーニーとサンドラブロック。

どうにもジョージ・クルーニーという人は、この人が映るとオーシャンズシリーズがフラッシュバックしてしまうのですが、今回はそれもまた良しで、沈鬱な状況でもそういう颯爽とした感じが結構救いになっていたように思います。

それにしてもサンドラ・ブロックはこれはもうアカデミー最優秀主演女優は確定ではないでしょうか。顔だけしか映っていないようなこの映画でここまで魅せたのは素晴らしいとしかいいようがありません。

2D版も上映していますが、これは3D版が圧倒的にオススメ。とってつけたような3D映画が多い中で、これは3Dで見ていることを忘れるほど自然で、30分ほど過ぎたあたりから3Dメガネの存在を忘れることでしょう。

「飛び出し感」だけなら『3丁目の夕日3D』の東京タワーの飛び出しの方が圧倒的に凄いくらいで、そういう目の前をふらつくアイテムは少ないながらも、3Dが「普通」に見えてしまうというのだから、もうそれを普通に見るのが自然な形。

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で、この映画に神秘的な奥深さを見いだしている方が多いのは知っています。

例えば、ホースがヘソの緒で胎児を意味するサンドラ・ブロックの姿や、カエルと生命誕生を重ね合わせた見方など。

しかし私はあまりそういうのを実は感じられなくて、単純に「危機脱出」映画として見ていましたので監督の意図を汲み取れなかった可能性はあるのですが、それでも充分楽しめましたし、ISSの存在を実感を伴って体感できたのはかなり貴重な経験。

一点だけよくわからなかったのは、なぜジョージ・クルーニーがベルトを外さなければならなかったのかで、これも含めて重力の存在らしきものが唐突に表出することがあって、もしかしたら詳しい人が見ればそういうものなのかもしれませんが、慣性モーメント以外の力の出所が理解できないところがありました。

まあそれはそれでいいのです。

とにかく2200円で宇宙体験が出来るのはかなり貴重なのであります。『清洲会議』はレンタル待ちも有りですが、『ゼロ・グラビティ』は映画館専用でしょう。

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2013/01/23

映画『レ・ミゼラブル』、かなり面白かったです

Lesmise_2 話題の映画『Les Miserables ~レ・ミゼラブル~』を新宿のピカデリーで見てきました。ほとんどネタバレはありません。

かなり面白かったのですが激混み!!。でもお客さんの多くが女性だったので幸せ!!

で、ジャン・バルジャンのヒュー・ジャックマンとファンティーヌのアン・ハサウェイは良かったのだけど、悪いところを先に書いておくと、ジャベールのラッセル・クロウ。

歌わなければならないこの作品でラッセル・クロウはミスキャストだったのではないでしょうか。

下手なわけではないのだけど、「ハリウッドスターの役者」な匂いがプンプン鼻について、この人が出る場面ではスクリーンに集中できませんでした。

いまさらながら『オペラ座の怪人』でジェラルド・バトラーとエミー・ロッサムとパトリック・ウィルソンという花とアクの無い人達をメインキャストに組んだジョエル・シュマッカーの狙いがよくわかります。

「レミゼ」を見たいのであって「ハリウッド」を見たいのではありません。ラッセル・クロウには悪いけれども、この人は少し映画人としての存在が大きすぎました。

アクの強い人を主役にした『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はあれはビョークのPVだから、あれはあれで良いのです。

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上映中にそこかしこから鼻をすする音がしていましたが、やはり一番の泣かせどころはアン・ハサウェイの最後の登場シーンでしょうか。

歴代のスクリーンで、これほどまでに人が美しく天に召されるシーンを見たことがありません。

リストだったかシューマンだったか誰かが「全ての美しいものは悲しい」という言葉がありますが、この映画で流す涙は、前半のアン・ハサウェイに対する「かわいそう」という涙と、終盤で再び彼女が登場した時の美しいものへの涙の2種類があって、後者がよりグッと来るのです。

そして印象的だったのがコゼットの恋敵、エポニーヌ役のサマンサ・バークス。

もちろんレ・ミゼラブルにおいてはコゼットの方が主役級ではありますが、エポニーヌに同情する人も多いのでは無いでしょうか。

コゼットがジャベールから逃げるジャン・バルジャンについて家を出る時に書いた、初恋の人・マリウスへの手紙を隠してしまったのはあまりにも人間的だし、恵まれていたのはテナルディエ一家が裕福だった時だけで、精神的にはいつも満たされていなかったエポニーヌこそが『レ・ミゼラブル』のスパイス。

革命運動の中での彼女の悲劇は、立ち位置は違えども、例えるならプッチーニの『トゥーランドット』で主役ではないものの心に残るリュー的な存在感。

一方のコゼットはかわいそうな運命の中にいたけれども、ジャン・バルジャンの深い愛の中で典型的な「お姫様」になってしまっていて、観る者の心を打つキャラクターでは無かったです。

一説ではエポニーヌ役のオーディションでは「テイラー・スウィフトで本決まり」と言われていたそうですが、もしテイラー・スイフトになっていたら、お姫様が二人いた不思議な映像になっていたでしょう。

深い陰のある演技の中で強さと弱さを演じるサマンサ・バークスに逆転抜擢の白羽の矢をあてたスタッフの眼力は大正解。

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キャッツ、レミゼ、オペラ座、ミス・サイゴンなどをプロデュースして、この映画にも関わったキャメロン・マッキントッシュの人脈によるものなのでしょうが、司教役のコルム・ウィルキンソンはカナダ版『オペラ座の怪人』でファントムをやった人ですし、こういった舞台役者がそこかしこに散りばめられているようです。

今年のアカデミー賞は『リンカーン』旋風になりそうなので、8部門ノミネートされたといってもこの作品がどうなるかはわかりませんが、『王様のスピーチ』で最優秀監督賞を取ったトム・フーパー監督が監督賞にノミネートされなかったあたり、いくつかで受賞はあっても主要部門では厳しいサインなのでしょう。

出来ればフォンティーヌ役のアン・ハサウェイに最優秀助演女優賞をあげたいなあ。本当に彼女の演技は凄かった。

で、格差と貧困・自由と束縛・正義と法律、こういったものに挑む人達のパワーを圧倒的な映像で表現した『レ・ミゼラブル』は私的には「観て良かった」映画でした。

冒頭の刑務所内の大迫力の映像と囚人達の大合唱『Look Down』で掴みはOK。ぐいぐい引き込まれた2時間38分でした。

こういう、歳を取って一歩引く物語って、R.シュトラウスの『ばらの騎士』なんかもそうなのだけれども、私にとっては好きな分野なんだなあと再認識。

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2012/11/05

抱腹絶倒、映画『ステキな金縛り』

Suteki レンタルBDで映画『ステキな金縛り』を見ましたが、これが相当面白い作品でした。以下、多少のネタばれ含みますのでご注意ください。

まず何と言っても脚本が絶妙。

妻殺しの容疑で捕まった男の裁判の弁護士のお話なのですが、この男にはアリバイがあることがわかったのだけど、なんとその男のアリバイを証明できるのが落ち武者の「幽霊」のみ。

というのも、妻が殺された時間にその男が「幽霊」に覆い被せられて金縛り状態になっていたからなのです。

で、その幽霊を法廷につれてくることが出来るのか、幽霊の証言で男を無罪にすることができるのか、はたまた、その証言を裁判長は検事は傍聴人は聞くことができるのか、というお話。

予告編YouTubeは例えば(コチラ )

見ないと損をする、という大袈裟な言葉が大袈裟ではない、真にエンターテインメントな傑作なのであります。

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幽霊役が西田敏行さんなのですが、これがまたなんともハマリ役。

弁護士の深津絵里さんが西田さんを裁判所に連れて行こうとした時に、
「あーなた幽霊なんだから瞬間移動で行けるでしょ!!」
「ぃゃ幽霊でもそれはできましぇん!!」
みたいなやり取りがあって大爆笑。

それから、久々に『トリック』の上田次郎と同類の役所となった阿部寛さん、西田さんと同じく落ち武者風散切り頭のタクシー運転手生瀬勝久さんも笑いのツボです。

私は断言します。あなたは生瀬さん登場シーンで必ず笑うと!!

西田さんらしく、よくお腹をすかせるのでファミレスに行くのですが、そういう時にちょっとしたファミレスの店員役に深田恭子さんがいたりして、なかなか贅沢な映画となっています。

で、西田さんは幽霊なので普通の人からは見えないのですが、ある条件を満たした人は見ることができるのです。

弁護士の深津絵里さんなんかはその条件を当初満たしていたので見えていました。

この条件の一つが「不遇であること」なのですが、ドジで失敗ばかりの深津さんからは見えています。しかしこの妻殺しの裁判で遂に被告勝訴となれば不遇では無くなり、判決と共に西田さんが見えなくなる、という状況でラストシーンはいかに。

法廷ではもう一人、西田さんが見える人がいます。それは裁判長の小林隆さんでしょうか、それとも検事の中井貴一さんでしょうか。このあたりはストーリーの核心に迫っていくのでネタバレはやめておきましょう。

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死者が見える、ということで、深津さんにとって亡くなったお父さんである草彅剛さんを西田さんがつれてきたりして、映画のキャッチコピーが「一番笑えて、泣ける」となっています。

ですが、この「泣ける」というコピーは胸の奥にしまっておくとして、とにかく笑える映画になっているのがかなり好きな感じ。

孤独な現代人が、仮に相手が幽霊であっても、そこに心温まるやり取りがあれば心が少しホッとして元気になれる、そういう「泣ける」というよりも、笑いの中に力が抜ける「軽さ」が三谷作品っぽくてイイのであります。

こういう幽霊なら絶対会ってみたい、きっとみんながそう思うでしょうし、多くの映画監督が「ヤラれた!!」と膝を叩いたことでしょう。

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2012/10/08

大人だから楽しめる映画、『ひみつのアッコちゃん』

Akko 朝一番で、綾瀬はるかさん主演の映画『ひみつのアッコちゃん』を見てきました。ネタばれはほとんどありません。

化粧好きの小学生加賀美あつ子ちゃんがコンパクトを開いて「テクマクマヤコン・テクマクマヤコン・大人のあたしにな~れ」とじゅ文をかけて始まるどたばたコメディ。

このコンパクトをアッコちゃんに渡す「鏡の精」がおばあさんではなくて、怪しい出で立ちに黒いグラサンの香川照之さんだってのが、まず最初のインパクトで、掴みはOK。

中身小学生の綾瀬はるかさん演じるアッコちゃんが、冬休みを利用して倒産寸前の化粧品会社「アカツカ化粧品」でアルバイトするというのがメインプロットで、アッコちゃんのお母さんがここの化粧品のファンだってのが後の味付けになってます。

赤塚不二夫さんのアカツカなんだけど、それは置いといて、この会社の前社長が大杉漣さん、現専務が谷原章介さん、職場の先輩が吹石一恵さん、職場の室長補佐が岡田将生さん。

結構豪華俳優陣なのであります。

アルバイトにあたっての履歴書の学部欄に「算数学部」って書いたのがエンディングの布石になっています。

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小学生にOLが出来るのか、という見方が一つ。

それから、大人達は小学生の心を失いすぎていないか、という見方が一つ。

株主総会で…というかよく考えたら冬休みの期間つまり正月の前後に株主総会やる会社ってあるのか…という疑問は忘れて、アッコちゃんの言葉に会社側が「小学生じゃあるまいし」みたいなことを言い、アッコちゃんは会社に対して「大人は勝手すぎる」と反論し、かくして大人の社会に小学生の純真さが波紋を広げていくわけです。

で、岡田将生さんへの愛やアカツカ化粧品への愛を成就する過程で、アッコちゃんは谷原さんや吹石さんや大杉さんに変身しちゃうんだけども、これがまた大爆笑の連続。

特に前社長の大杉漣さんに変身したところの大杉さんの演技、つまり中身は小学生の綾瀬はるかさん(ややこしいですが)なんだけど、これが傑作なのであります。

普段は厳しい吹石先輩や谷原専務にも変身しますが、それまで渋い演技だった谷原さんが、中身が綾瀬はるかさんになった途端に「ぃや~だぁ、んもぅ~」みたいな感じになるのが客席大爆笑。

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大人になりたかった化粧好きのアッコちゃんが、最後にコンパクトを壊してしまって、「ラミパスラミパス・ルルルルル」が効かなくなって小学生に戻れなくなった時に、雪降る夜、離れたところから見たお母さん達の姿。

ここで変身しないと大好きな岡田さんを救えない状況で、でも秘密を他人に明かしたらもう魔法が使えなくなるというジレンマと、自分が嘘の存在だとバレることの恐怖。

こういった状況で、アッコちゃんはどうするか、何に変身するか。彼女が一番なりたいものは何なのか。

そういう映画なのであります。

エンディング付近でのアッコちゃんのウエディングドレス姿は、映像効果もBGMもなぜか「シザーハンズ」終盤のウィノナ・ライダーになっちゃってるのだけど、これはシザーハンズのエドワードつまりジョニー・デップが「純粋さの象徴」だということに、アッコちゃんの無垢さをかけているオマージュなのかもしれません。

大人でも、というか、これは大人じゃないとわからない心の機微が描かれているので、むしろ大人向けに良く出来た映画だと思いました。

ちょっと間延びした株主総会の場面以外は、かなりお勧めの一作。人間関係に胃もたれしている現代人へのエール。

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2012/01/28

『ALWAYS三丁目の夕日'64』観てきました

YuuhiALWAYS三丁目の夕日'64を3D版で観てきました。

ほとんどネタバレはしないで書きます。

このシリーズですから当然のように感動してしまいますし、構成の上手さに舌を巻くわけですが、私的には音楽が『龍馬伝』や『パンドラ』シリーズの佐藤直紀さんだというだけで充分に観なければならない映画なのであります。

で、『三丁目の夕日』シリーズはノスタルジックが全てなので、細かいことは気にならないのですが、それが善し悪しで、「気にならない」を突き詰めると「何も残らない」にもなります。

極端に言うと、1作目と2作目で記憶に残っているのは堀北真希さんが田舎から出てきたことと、後は吉岡秀隆さんが面倒を見ている須賀健太君が可愛いかったなあということくらいなのですが、恐らくこの3作目もすぐに細かいことは忘れてしまうでしょう。

しかしすぐに忘れてしまう内容というのは、逆に言えば、ものすごく気持ちよく、何の引っ掛かりもなく耳と目にすんなり入ってきているということですから、上映時間の2時間30分だけは本当に至高の時間。

恐らく、記憶に残るストーリーを目指す監督だったら、物語に必ず「悪人」を入れることでしょう。

そう、このシリーズには悪人が徹頭徹尾いません。その徹底さはまさに完璧で、全ての人が「良い人」であり、裏がありそうに見えた森山未來さん(堀北真希さんが心を寄せた人)までもが実は良い人だったのはかなりの驚きでした。

だからこそ森山さんの正体が明かされる部分がクライマックスとして成り立っているわけで、山崎貴監督の、というか脚本家・山崎貴さんの面目躍如。

当然ながら東京オリンピック当時にも悪い奴はいたわけで、犯罪だって普通にあったはずなのだけど、思い出というのは温かい気持ちと共に蘇る美しいものだという、そういうこだわりを素直に受け取れるかどうかが受け手の分かれ目。

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前述のように、旧作で数少ない記憶に残っていた須賀健太君。古行淳之介が旧作の面影を引きずってるなあと思ったら、クレジットロールを観ていたら今作もそのまま須賀健太君、というか4年以上過ぎて背もえらく高くなっているから、健太さん、と言うべきでしょうが、彼は本当に記憶に残る深い演技をするのです。

そういう意味では『ALWAYS三丁目の夕日'64』の主役は、堤真一さんでも堀北真希さんでもなく、彼を育てていた茶川竜之介、つまり吉岡秀隆さん。

父(米倉斉加年さん)との別れから学んだことをそのまま淳之介に使ってしまう、竜之介のその不器用さが今作一番の感動と泣き所。

別れのその瞬間に淳之介は全てを悟ったわけだけども、竜之介が父と別れた時は悟ることが出来なかった、後悔と絶望、吉岡秀隆さんは随分難しい役をこなしたと思います。

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さて、もう一つの特徴であるところの3D映像。

2時間30分の間あのメガネをかけていたのも、つまるところ、冒頭の東京タワー見下ろし映像のためであり、まさに「映画の掴み」を成功させるための3Dと言い切ってしまえると思います。

あの場面以外はむしろ画面を見づらくしていただけのように思いますし、多くの映画館で3D版と2D版を併映していますから、無理して3Dで観る必要は薄いと思いました。

もっとも、その冒頭の映画の掴みの東京タワー見下ろし映像の立体感は確かに凄いもので、タワーの先っぽが本当に自分の顔のところまで伸びてきているような錯覚は、ちょっとなかなか経験できるものではないかもしれません。

それなりに歳取った人が、ちょっと合間に現実を忘れて温かい気持ちになり、見終わったら後腐れ無くすぐに次の仕事に取りかかる、そういう「場」が『ALWAYS三丁目の夕日'64』の客席だと思います。

だからこそこのシリーズは自宅のDVDで見るのではなく、せせこましい都会の劇場で見るのがイイと思うのであります。

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2010/11/10

映画『運命のボタン(The Box)』、大風呂敷での小話

Dsc01818リチャード・ケリー監督でキャメロン・ディアス主演の『運命のボタン』(The Box)を今更ながらDVDで見ました。

わかりにくい部分が多くて、以下ネタバレ有りなんですけど、これが正しいネタバレなのかどうかもよくわからなかったりしてます。

とりあえずそういうわけでネタバレしますので未見の人はここでサヨナラです。

映画のストーリーは、知らない男からボタン付きの箱を貰って、「押したら100万ドルあげるけど誰かが死ぬよ」って言われて、まあ悩むんだけど押しちゃって本当に誰かが死んじゃうところまでが前半。

Dsc01814次にキャメロンの息子の視覚と聴覚が奪われた上で、その100万ドルについて「ボタンを押したキャメロンを旦那が撃ち殺したら息子の視覚と聴覚を戻すけど100万ドルは息子が18歳になるまで預かる、

そして、撃ち殺さなかったらその100万ドルを自由に使っていいけど息子の視覚と聴覚は永遠に戻らない」って選択に追い込まれて、キャメロンが撃ち殺されるところまでが後半。

そしてキャメロンがそうやって撃ち殺される瞬間に他の誰かが100万ドルのために運命のボタンを押しているというラストシーン。

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Dsc01816映画のプロットは凄くイイのだけど、全ての背景を宇宙人のセイにしてるのが安っぽくて、実は個人的にはあまり面白くなかったのだけど、見た後で何かを言いたくなる映画であることは確かです。

ものすごく壮大で興味を駆り立てる大風呂敷を広げて、にやけた宇宙人による小話が繰り広げられた…という感じでしょうか。

で、この映画で監督兼脚本のリチャード・ケリーが言いたかったのは、「人は身勝手なことで他人を不幸にしてしまう」ということなんだと思います。

ボタンを押すかどうかの選択は宇宙人による地球人に対するテストだと途中で述べられているけれども、たぶんフランク・ランジェラ演じる顔が半分無いアーリントン・スチュワードはこの後もずっと「運命のボタン」を配達し続けて、そしてボタンが押され続けて、前に押した人が死ぬという無限の連鎖になっていくのでしょう。

Dsc01819_2つまり、その連鎖の中で一人でもボタンを押さなければ、100万ドルよりも人の命を大切に思う人が一人でもいれば、その前にボタンを押した人が死なないわけですから、連鎖が切れます。

この映画は恐らく、誰の心にもそういう「欲に負ける本心」があって、永遠にボタンが押され続けることの恐怖を描いたのでしょう。

そういう本心というか本性は誰かを不幸にしているかもしれないんだよという。

面白いのは、顔の半分が無いスチュワートにキャメロンが労りと愛の言葉をかけるシーンをわざわざ入れたことで、「こういう優しい人ですらボタンを押すんだよ」という諦めというか悟りというか、イイ人・悪い人という境目に関係なく、人はみなボタンを押すんだという境地です。

ただし、自分の身内に対しては自己犠牲を払ってでも守ろうとする別の本性が第2の選択で描かれるわけです。「地球人、いとおかし、いとかなし」でしょうか。

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Dsc01821キャメロン夫妻と出会う人々が次々と鼻血を出していくのは、夫妻を追い詰めるために宇宙人が脳に進入する過程で何らかの刺激で流血に至っているという、特に深い意味の無いものだと思います。

つまり冒頭でキャメロンへの資金援助の打ち切りを告げる校長も、宇宙人が脳に進入してそう話させているのでしょう。そして進入の過程で脳に軽い障害が発生して鼻血が出た、ということに過ぎないと思います。

少年がVサインのようなものを旦那に出したシーンは、たぶんVではなくて「2番目の箱を選べ」とサインを出したのでしょう。

少年は給仕をしていましたから、きっと箱の中身を知っていて「イイ物が2番目に入っている」と思った旦那は単純な理由で2番目の箱を選んだ、と。

Tirasi映像的にはキューブリックの『シャイニング』的な部分が多くて、例えば図書館の廊下は双子の姉妹が廊下に立っていたシーンを思い出しましたし、妹の結婚式は亡霊達のパーティを思い出しました。

それから、関係無いことですが、アメリカのあの時代は公務員しかも国の事業に絡んだ仕事なのに給料が安いっていうのは驚きました。

金に困ったキャメロンに対して旦那が「しょうがないよ、公務員だもの」みたいなことを言ってましたが、アメリカではいまでもそうなのでしょうか。

それとも公務員とは奉仕の仕事であって、給料なんて高くする必要なんてないのに、という社会批判が混ざっているのでしょうか。

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2010/10/04

見なきゃソンなミュージカル映画『NINE-ナイン-』

Nine 『NINE』をブルーレイで観たのですが、これがなんとまあ本当に凄い!!煌びやかでキャラクタが立ってて華やかな面白い映画でした。公式サイトは(コチラ)

実は新聞の広告とかで以前から知っていた映画でしたが、真ん中でサングラスをかけている男がずっとニコラス・ケイジだと思っていて、この人の映画で面白かった試しが無い者としてはあえて避けていたのです。

ところが、ツタヤで何か違うなあと思ってよく観たら、ダニエル・デイ=ルイスではあ~りませんか!!

もちろん新作一泊二日料金を払って急いで帰りました。

で、結果的にはダニエル・デイ=ルイスだろうがニコラス・ケイジだろうが、実はこの映画ではどちらでもよくて、その女優陣が凄まじいのです!!。いつになくビックリマークが多くなっています。

ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、ジュディ・デンチ、マリオン・コティヤール、ステイシー・ファーガソン。

そして、なななななんとソフィア・ローレン!!

こういう人達が同じスクリーンに映っているだけでも大事件です。

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もとがフェデリコ・フェリーニのミュージカルの映画化なので、サクラ大戦歌謡ショウの「愛ゆえに」とか「つばさ」の時のように、これらのザ・スーパースター・ヒロインズが一人一人順番に、自分の出番で強烈な歌を歌います。

歌、どうなのかなあ…と観る前に心配になってしまうジュディ・デンチですが、最高にソウルフルな大人の歌唱を聴かせてくれます。というか、ジュディ・デンチってかなり歌がうまい!!

短いですがソフィア・ローレンも歌います。

ですがですが、もうサイコ~~~に格好イイのが劇場に見に行ったのが懐かしい『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソンの「シネマ・イタリアーノ」!!。

♪Contini's Cinema Italiano
♪I love his Cinema Italiano

この部分のメロディが頭から離れないとお嘆きのアナタ!!大丈夫です。エンドクレジットでもう一度この曲が流れます。

ステイシー・ファーガソンが「ビー・イタリアン」を歌う後ろで体感100mくらい横に一列に並んだダンサーさんも圧巻。砂を使った演出も見事。

僕のペネロペ・クルスもロープダンスしながら「ア・コール・フロム・バチカン」を実にセクシーに歌ってくれます。

こういう人達が凄すぎて、ニコールがほとんど目立ってなかったのはちょっと可哀想ではありました。

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で、この映画がサイコーなのは、「とにかく面白かった」という強い印象は残るものの、見終わった時にストーリーを全部忘れてしまうところなんです。

ガーっと盛り上がって熱狂の中で終わる時って、祭りでもなんでも、そこで何があったかなんて覚えて無くて、「いやーすごかった!!」って口から出るだけじゃないですか。あんな感じ。

だからこそ、この映画はストーリーを忘れてしまっても、それはむしろこの映画に対しては褒め言葉。

とはいえ、あえてストーリーに触れれば、「映画作りでスランプに陥った監督(デイ=ルイス)が頭抱えて女性達に救いを求める」ってことでしょうか。いやこれが端折りすぎではなくて、本当にそれだけなんです。

で、その一人が自分が9歳の時の母(ソフィア・ローレン)の幻影だったり、その頃に海辺で見たセクシーな年上の女(ステイシー・ファーガソン)の幻影だったり、映画の記者会見で記者席にいた女性(ケイト・ハドソン)だったりするわけです。

ニコールは創作スランプで悩めるデイ=ルイスのそういった拠り所の女性達全ての象徴というか、Wikipediaではミューズと書いてあるけれども、彼の創作活動の原点みたいな存在で徹底的に美化されているんですが、その肝心の彼女は「自分は役者であってミューズではない」って言って去っていきます。

ニコール・キッドマンの僕的一押し映画は『アザーズ』ですが、『ムーラン・ルージュ』以来の彼女の歌唱もお聴き逃しなく!!

しかしそれにしても色っぽさと可愛らしさが同居するペネロペ・クルスは素晴らしい!!。

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2010/03/08

第82回アカデミー賞

Poster今年もアカデミー賞の生中継をWOWOWで観ました。

例年以上に盛り上がりに欠けた印象ですが、歌曲賞のパフォーマンスが無かったからでしょうか。

プログラム全体にメリハリが無くて、唯一面白かったのがホラー映画の特集コーナー。

アメリカ人は『シザーハンズ』をホラー映画の範疇に入れているというのがシザーハンズに涙する者としてはショックでしたが、3時間あまりの中では唯一食い入るように見た部分でした。

司会は『恋するベーカリー』でメリル・ストリープを取り合うライバル関係だった、スティーヴ・マーティンとアレック・ボールドウィン。

これがイイ感じの漫才コンビで、授賞式のために撮影した1分くらいのホラー短編(といっても一つのベッドで2人が寝ているだけ)が傑作で、引退も噂されるアレックもこれを機にもう一花咲かせてもらいたいものです。

それから、序盤で司会が「それじゃ君にはトヨタの車を贈ろう」と言った場面があって、その時場内が爆笑だったのだけれども、アメリカではトヨタの車を貰うことが罰ゲームとして受け取られる事態になっているのはかなり深刻な風潮です。

また、他にも日本絡みでは『ザ・コーヴ』の最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞があるでしょう。

これは日本のイルカ漁を批判した作品で、「fresh fish」という看板が象徴する日本の食文化への批判的挑戦。

あまり気持ちの良い受賞シーンでは無かったものの、受賞者のスピーチを途中で音楽が遮ったところは多少の配慮でしょうか。

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Dsc01633授賞式は終始『アバター』vs『ハート・ロッカー』でしたが、美術賞とか視覚効果賞とかをアバターが取った時点で、これはメインはハート・ロッカーかなと思いました。

どうもアカデミー賞はこういう「見栄え」に関して評価される作品に主要な賞が行かないイメージで、脚本賞といった核心部分をハート・ロッカーが取ってじわじわと外堀を埋めていった感じ。

Dsc01629ところがこれがまたよくあるように、主演男優賞・女優賞が全然違う作品に行くところがアカデミーのバランス感覚で、男優賞は『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジス、女優賞が『しあわせの隠れ場所』のサンドラ・ブロック。

『タイタニック』ですらディカプリオが男優賞を取れなかったわけで、このあたりが毎度のことながら面白いです。

Dsc01622で、『クレイジー・ハート』は観ていないのでわからないのだけど、ジェフ・ブリッジスは『シービスケット』の大富豪役が抜群の存在感で良かったので、ちょっと嬉しかったりします。

そしてサンドラ・ブロックの女優賞受賞は、ついこの前ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)の「最低主演女優賞」を取ったばかりなわけで、これは凄い!

というか何が凄いって、ラジー賞の授賞式に珍しく本人が現れたっていうその懐の深さと「大人の余裕」みたいなのが凄い。

Dsc01624もう一人、ノミネート止まりではあったものの、『プレシャス』がデビュー作のガボレイ・シディベのチャーミングな人の良さみたいなのが画面から伝わってきて、「ああこの人、性格良さそうだなあ」と強く感じました。

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Dsc01612最近は洋画DVDを借りてきてもあまり面白くなくて、実は今一番ハマってるのが『クレヨンしんちゃん』の映画版なのだけれども、これの全巻制覇を目論んでいる者としては、ハリウッド作品はちょっとお腹いっぱいなのであります。

ドラマとしても、WOWOWのドラマWの方がドキがムネムネする状況なわけで、もしかしたらそういう感覚は私だけじゃないのではないでしょうか。

授賞式の盛り下がり方を観ていると、実はアカデミー賞を取り巻く人達ですらも、ハリウッドの行き詰まり感を感じているのではないかという気がしてきます。

そういう意味では日本のメディアとしては日本人受けするアバターに取って貰いたかったようで、今晩のニュース枠の文字はどこのチャンネルも「アバターはいかに!?」みたいな感じです。

Hurtlocker公式サイトのトップページに早くもアカデミー賞受賞の巨大フォントが踊っている『ハート・ロッカー』。

ゴールデンウィークには一応観に行くとは思いますが、ショウビジネス界の偉い人達の思惑に踊らされずに、自分なりの傑作を探していきたいと、例年以上に強く思ったのであります。

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